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太氣至誠拳法 鎌倉太氣拳は澤井先生直伝の佐藤嘉道先生の稽古体系を実践します。

TEL. 090-8030-2262

太氣拳とその技法ABOUT TAIKIKEN &THE TECHNIQUE

太氣拳とは(「実戦中国拳法 太気拳」より抜粋)

■大成拳と「気」
大成拳が形意拳の一派として王コウ斉により創始され、心意派と呼ばれたのは上述の通りである。では、何故に心意派と呼ばれたのか。それは、王コウ斉が「郭雲深先生の神技は気の力によるものであり、それを習得せずして本来の技はない」として、立禅を重点とした稽古をしたためである。そして、相手と立合ったとき、本当に気が十分発揮できるに到り、すなわち、王郷斉の拳法が大成したとき、彼はこの拳法を大成拳と名づけたのである。


■太気拳の創始
先生が常に言われる立禅を重点とした稽古を毎日続けているうちに、大陸的な息の長い、中国武術というものが、次第にわかってきた。
 その後、私は大成拳を会得し、太気拳を創始した。私は外国人の弟子であるので、大成拳と言わずに、気の一宇を使って、太気準と名付けて新たに出発する許可を得たのである。私は今日、この歴史ある拳法を知り得たことを誇りに思っている。そして、昔を思い出すとき、常に王郷斉先生の姿が目に浮かび、先生がよく私に言われた言葉を思い出す。「あなたに気の力を何百回、何千回説明してもわかりはしないだろう。しかし、あなたは私と立ち合って、その偉力は知っている。それは自分の力だけでしか得られないものだ」そして、終戦後帰国して、ある道場での立合において「これが先生の言われた気というものか!」と感じたときの驚き、その驚きは一生を武道家として辿る、太気拳としての出発ともなった。


太気拳の特徴(「実戦中国拳法 太気拳」などより抜粋)

■ 気の養成
 太気拳で最も重要なものに「気」がある。「気」なくして太気拳はないと言える程、気は大切なものである。しかし、気といっても決して難しいものではなく、気は強弱の差はあるが誰もがそなえているものである。武術を志す者はこれを鍛練し、強くするということは勿論であり、さらに進んで、気という力が相手と触れ合った瞬間に、常に十分発揮されるということが重要である。練習をいくら積んでも相手と立ち合ったときに、気の力が外に出てこなければ意味はない。


■ 形あって形なし
 太気拳には定った形はない。本書では防禦、攻撃の技をいくつか示しているが、これはこのような防禦、攻蝦の方法もあるという例に過ぎない。
 要は立禅と這を稽古で完壁にし、相手の攻撃に応じて、自然な形で手や体がそれに対応すればよいのである。無理に形を定め、大きい者も小さい者も同じ形の技を練習することは無意味である。


■ 天・地・人と体の動き
 大気拳では体はすべて分離していなければならない。手は手、足は足で各々の働きをするように稽古することが大切である。従って、これは前に述べた太気拳に形がないということとも関連するが、右構え、左隣えといった定ったものはないのである。手は、いわば自分を守る触角であり、腰は体を安定させる「地」の役目である。太気拳では腰を落すが、一般的に腰を落すと動きがないものとされている。しかし、それは腰が固いためであり、十分に鍛練された柔らかい腰であれば問題はない。また、足は体を十分に練るために、歩幅は広くとらない。ちなみに歩幅を広くとる者に名人はいない。
 太気拳では手のすべての動きが防防御と攻撃を含んでいる。時には手は太刀の役割もする。


■ 自然の中での稽古
 大気拳の稽古は外でするのがよい。特に木立のある場所で早朝、稽古するの力よい。自然に囲まれた中で稽古をつめば、自然の中から多くのものが得られる。従って、道場は必要でない。武道はあくまで個人的な地道なものであり、その意味では自然の中での日々の鍛練こそが、唯一無二の上達の方法となる。
私は、武術の道は大きな一本の樹みたいなものだと思う。樹の下の部分の大し幹は若い頃、そして、歳をとるにつれて上へゆき、幹は細くなり、やがて枝に変わる。若い頃の太い幹は力があり、どれだけ稽古しても耐えられる。だが、年老いて
枝になったとき、風が吹けば枝がしなるように、しならなければ、ポキリと折れる。年老いてゆけばゆくほど、梢の小枝のように、自然に身を委せた、てらうことも、けれんも全くない、いわゆるかれた技をを発揮でき、若い後継者にこの範を示すものこそが真に優れた武術かなのである。



太氣拳の鍛練技法

禅(太気拳の基本・”気″を養成し発揮するための内的な鍛練)
太気拳《しは気″を養成するために立禅″の稽古から入る。立禅の稽古とはいっても一つの形を長時間維持し、立ったまま禅を組むのである。この立禅を組むことによって神経・呼吸の稽古になり足腰の鍛練にもなる。
先生がおっしゃったのは「今夜の食事のこと、何か気に掛かること、何でも考えたいものがあれば考えてもいいよ、足が痛くなれば、もうそれどころではないよ、頭の中がそのことで一杯になってくる。それを超えれば、もうそこには何も無い」であった。
ある年数立禅の稽古を毎日のように行っていれば〃気″が体内に蓄積するのがわかるようになる。だが、蓄積された〃気″を発揮できるようになるまでが、太気拳の場合、大きな壁となろう。

◆注意点◆
立禅は太気拳の基本となるものであり、この稽古によ')気が養成されるものであるから、正しい形を学ばなければならない。

◆動作◆
歩''1扇は府I|'扇よりやや広めで(自然体)、手は太い木を抱いているような感じで前に上げる。目の位置はぼんやI)前方を見る(あまり一点を凝視しないこと)。足はかかとを少し上げ、膝を内側に少し折り曲げる。腰も少し落す。
最初は10分〜15分位できれば良い方である。稽古を枝んでいくうちに、30分〜1時間と時間をのばす。一度形を決めたら、やたらに手・足・腰を動かさないで、じっと立つ。
太気拳の稽古は〃静″から〃動″へと移行していくものである。すなわち静をもって〃気″を養成し、動をもって〃気″を発揮するのである。
立禅を終わったら、硬直した精神と肉体をほぐしてやらねばならない。太気拳の中では、この動作を〃揺″と呼んでいる。この〃揺″の動作は、手の形、技術などの正確なやり方よりも、立禅の延長として考え、気分を大切にして行う。

◆注意点◆
立禅を長く組んだ後に、ゆっくりと両手を下げると同時に膝を伸ばし、更にゆっくりと気分をととのえる動作を行う。この動作を揺りと呼んでいる。
禅を組めば身も心も自然に静にもどる。しかし、禅が終ってすぐに飛んだり跳ねたりしたのでは何にもならない。禅の気分を大切にしながら静から動へと移行していくことが肝要である。揺はこの意味において動への先がけとなる妓初の動作であるから、特に気分を入れて大事に行う必要がある。
大気拳の稽古は、このように常に静から動へと移るものであり、その間、首尾一貫して武の気分が流れていなければならない。気分が乗ってはじめて本来の自分の動きというものが出てくるし、気分が良14〈なれば、無理のない自然な動きが出てくるものである。その気分一感じというものを、しっか')と捉えていなければならない。
揺の気分は、大きな木を自分の方へゆっくり引きつけるような、そして押し返すような感じである。手の形ばかりにとらわれているとどこか不自然な揺になる。
揺はあくまでも立禅の一環としてあるので、立禅が自然に揺の動作に移行したと思えばよいのであり、別々に考えて動くと何の役にもならない。揺は立禅の延長なのである。

◆動作◆
立禅から手を静かに下げながら、足を伸ばして自然体で立つ。
立禅から離れて揺の動作に移る時は静かに元にもどす。左足を半歩前に出し、物を引きつけるように手を動かす
あまり意識的に腰を落したりしないで、できるだけゆつくり)やる。引きつけた手を前方へ力を入れずに、ゆっくり押しだす。
以上の動作を3回繰り返す。
自然体に一度もどり、今度は右足を半歩前に出し、同じ動作を3回繰り返して自然体にもどる。
気を入れる(発勁)
気の説明はすでに禅の中でも述べたが、気を外に発揮するための稽古、いわゆる発勁というものを「気を入れる」と呼んでいる。気はそれ自体、内に強力なもの
を持っているが、この気がいざ相手と立合う時に常に発揮されれば名人の域で
ある。

◆注意点◆
気を入れる場合、自分の息を一気に飲み込み、力と精神を集中して気を入れるのであり、大声を出して息を外に出す気合とは違っている。また、気の発揮について、吹矢の名人の例をとって説明してみよう。今、相手を吹矢で倒そうとする吹矢の使い手がいる。彼は一体どのようにして相手を追うのだろうか。体を常に柔らかく、相手の動きに合わせながら、じっと待つ。しかし、最も重要なのは、いつで・も一気に、I瞬間に「ぷっ」と吹ける状態にある事なのだ。それは、筒を通ってゆく矢のために、すべての気を一度に吹き出す。すなわち気の発揮そのものである。稽古の時もこのことを念頭に入れて行なって欲しい。

◆動作◆
揺が終ったら自然体に戻り、左足を半歩前に出し、左手に右手を添えながら、息を一気に飲み込み気を入れる。
次に右足を半歩前に出し、右手に左手を添えながら息を一気に飲み込み気を入れる。
這(太気拳の基本・”気″を養成し発揮するための内的な鍛練)
静かに立禅をして、そして揺を終えた後に〃這″の稽古に入っていくのである。
。”這″とは文字通り、這うのである。腰を低く落とし、両手をやや前面に上げ、腰を落としたまま静かに地面を這うのである。五メートルの距離を二十分ほど時間をかけ、動いているのか、いないのかわからないくらいにゆっくりと蛇行しながら這うのである。
太気拳の稽古の場合、一にも二にも足腰の鍛練が必要とされているが、足腰が安定していて、初めて、さまざまな技を使うことができるのである。上体そして腕が、どんな素晴らしいさばきをしても、地に着いている足腰が不安定であるならば、その捌きは形だけのものに終わってしまう。攻撃も防御も、足腰の安定なくしてはありえない。
”立禅″”這″が太気拳の中では基本である。つまり〃気″を養成し発揮するための内的な鍛練である

◆注意点◆
這は自分の体を防禦と攻撃の両而で安定させるための訓練である。中国には太極の哲学で「天・地・人」の思想があり、人間の行動の基本の思想として、そのまま太気拳でも使用されている。それによると、人間の体は「天・地・人」に分けることができる。この中で最も大切なのは「人」である。従って相手が攻撃してきたとき、「人」の部分が守られればよいのである。しかし「人」を守るためには「地」である足腰を十分鍛練しておく必要がある。
武術においては、「人」に入ってくる相手の攻撃だけを防禦すればよい。それだけで事は足りるのである。そのためには、自分がしっかりと守るべき「人」の領域を知っておくことが大切である。それは頭における思考ではなく、体や手が無意識のうちに「人」をわかっていなければならないし、手はあたかも昆虫の触角のように相手の攻撃を知り「人」を守る必要がある。
這の稽古は「地と人」を鍛練するものであり「地」は足・腰の力の鍛練「人」は手・触角の鍛練である。この鍛練が十分なされず、バランスがとれていないと、必ずどこかに弱点が出てくる。例えば、顔面を攻められると腰が伸び切り、逃げるのに精一杯となる。また、腰が落ちず柔らかさのない「地」であると動きが鈍くなり、相手の攻撃に応じられなくなる。

這は腰をいつも定位置に保ち、見ている人がわからない程ゆつくl)進むことが肝要である。最初5メートル位前進し、つぎに同じ歩幅で後退する。目は凝視せず、相手の全体の動きがわかるように、ぼんやりと見る。特に足の運び方は注意を要する。腰を安定させる為に歩幅を広くとったり、重心を後にとったりしては意味がない。腰は低く、そして、速く、左右、前後に動けるものでなくてはならない。あたかもコサック・ダンスを踊る人のように、ねばり腰で、方向自在な足が必要である。
王獅斉先生は、水田の中で一時間以上も這の稽古をしたものである。蛇が首をもたげて、ゆっくり地面を這うように、できるだけゆつく’)、蛇行しながら這うように稽古をする。

◆動作◆
自然体から、腰を落すとともに両手を上にあげ、腰一腹の高さはそのままで、右足に体重をのせて1歩出る。
そのまま体重を左足にのせ、腰・腹の高さを一定に保ち、静かに前進する。このような運足で約5メートル位進む。目は3メートル位前をぼんやり見る。5メートルを20分位かけて這うとよい。
今度は同じ歩幅でゆつくりと後退し、自然体で終る。なお、後退しながらも前に出る気分を忘れないようにする。
練(静止・運足をつけて)
「禅」と「這」が身体の内部の鍛練および内家拳の気の養成であるとするならば「練」とは外的な肉体の鍛練であり、攻撃と防御に対する稽古方法をいう。練の稽古は、粘土をこれるのと同じであり、上下左右から、これたり伸ばしたりして、人間の身体をねばりのある粘土に仕立て上げるのである。
この場合、相手の攻撃をいかに防御することということを想定して練習するのではなく、ただひたすら粘土のように身体を練り上げることがその秘決である。
身体を練る過程には、迎手・払手・差手・打拳という四種類の稽古方法がある。写真は「禅」の後に行う「揺』に運足を付けた稽古である。〃静〃から〃動〃へと移行するための稽古でもある故、気分を大切に行う。

◆注意点◆
柔らかく強靭な体を作ることが目的であるので、体をねる稽古方法は個人によって違ってもよい。更に補足して言うと、体を縮めたり、大きくのばしたり、捻ったり、手が5分下がれば体が5分下るというように、手と腰が常に一致していなければならない。陶器をつくるのも、良い土でねるのが大切であるのと同様、この練も長年、無理なくねり上げれば、年をとっても常に独得の動きができるようになるものである。

◆動作◆
@(基本)自然体から腰を落し、両手で大きなボールを押すようにするもの
A(基本)自然体から腰を落し、両手で右から左に大きな円を描くような感じで進むもの
B左右の手を外から内に回すもの
C左右の手を内から外に回すもの
D(基本)腰を落し両手を前に出した姿勢から右手を手前に引きつけると同時に左足から前に出て行くもの
練 @迎手(実際の技4種の1つ)
迎手とは、相手が攻撃してきたときに、相手の攻撃を自分の体の中(防禦範囲の内)に迎え入れて防禦する手である。相手の攻撃をすかすのも迎手の一種であり、相手の攻撃の最大威力をはずすところに、迎手独特の良さがある。

◆動作◆
@構えの姿勢から、右手を耳の横に上げるように引くもの
(手を押し出すときは手のひらで押し出すようにずる。また、体の運び方、押し出し方をなめらかにし、腰から下は地面をゆっくり這うようにする。この稽古によって、手首が柔らかくなり、相手が攻撃してきた拳を自分の手の甲に乗せて受け流し、反対・の手で相手を打つことができる)
A自然体から腰を落し、左手筒を目の上まで上げ、右手は下げるもの
(これも手首をやわらかくする稚古であり、相手が拳で攻撃してきたとき、手首で相手の拳を跳ね上げて流す。中腰で行うので、足、腰の鍛練になる。また、迎手のなかの技ではあるが、基本運動に近いものである。)
B自然体から、相手が拳で顔面を攻撃してくるのを想定して、その拳を手のひらで撫で、るように自分の中心から外すもの
(足・腰の運び方は「這」と同じである。相手の拳を左手で引き入れることを想定して練習する場合、右手は添手になり、すぐ攻繋に入ることになる)
・・・<応用>相手の突(顔面)を受ける
C自然体から、両手を上げ、左手を右手よりやや下げて、右手を添えながら構えると同時に腰を落すもの
(相手の突きや蹴り)を上から迎え入れて防禦する基本的な技で、実戦でも最も使いやすい技である。)
(練習のとき注意することは、腰を落したり伸ばしたりするときになめらかに柔らかく動くことである。また相手の攻撃を想定して、腕の内側を使うことを頭に入れて練習する。
・・・<応用>相手の蹴りを受ける
D自然体からゆつくりと両手を上げ、左手は手の外側を前に出し、右手は添手にして腰を落すもの
(これは相手が攻撃してきたと想定したもので、腕の外側で相手が攻撃してきた拳を迎え入れながら引き込み、防禦すると同時に腰が下がって、相手を攻蝶する姿勢を作るのである。このとき注意することは、一方の手が受け手となって相手の攻蝶を受けているとき、必ずもう一方の手が添手となっているということである。
・・・<応用>相手の攻撃(中段)を受ける
(右手で、相手が突いてきた左拳を引き込み、腰を下げつつ防禦する。左手は常に添手となる。相手の拳を引き込むときは、相手の体が十分流れるまで引き込むことが大切である。そうすることにより相手の拳は、ふところの中に深く入り過ぎて次の攻撃に移ることができなくなる。)
E自然体から手のひらを外にして、左側から円を描くように両手を動かすもの。
(この練習は、相手の検からの攻撃を腕の内側で迎え入れて防禦するためで、廻ってくる相手の手や足の攻撃に対して、応用できる。また、手や足の攻撃を受ける
場合、首が自分の体の中に入り、腰と手は柔らかく、顔が逃げないようにする。体や手を固くして、あるいは逃げながら受けると、自分が攻撃できなくなり、相手の攻撃の力を同じ力て防禦する結果になる。)
F右手は相手の正面からの攻撃を防禦するつもり)で構え、左手は左顔面を防禦するつもりで、手のひらを内側に向けて、頭の横まで上げるもの。
(相手のまわし蹴りなどの横からの攻撃を防禦する方法であり、相手の攻盤を受け止めたとき、腰が十分下がるように注意する。この技はEと内容的には似ているが、急いで受ける時に使う技である)
・・・<応用>相手が突いてくる拳を受け流し、相手の拳が戻るまえに十分腰を落して、自分の体で相手を押し崩す。
G自然体から、相手が拳で突いてくることを想定し、右足を1歩前に出し、右手と体をひねりながら、上段で受けるつもりで頭の上まで右手を持っていくもの
H自然体から、手を大きく広げ、左足を1歩前に出し、相手が拳で突いてくる
ことを想定し、左に体ごとひねりながら、左手で相手の拳を巻き込むような感じで外側にそらすもの。
(腰は後に引くのではなく、下に落すこと。)
・・・<応用>相手が蹴ってきた足を左手で引っかけてそのまま持ち上げて倒す。また、引っ張って倒すこともできる
I自然体から、右足を1歩前に出し、腰を落し半身になりながら、相手が蹴りで攻撃してきたことを想定し、右手で相手の蹴ってきた足をすくい上げて引っ張るような格好で手を上へ持っていくもの。
(は相手の蹴りをすくう技であるが、手のひらと孤拳でいきなり挟もうとせず、まず始めに手のひらで相手の蹴った足にふれ、次に弧拳で下からすくい上げる。、
うにするのがよい。)
J右足を出すと同時に腰を下げ、両弧拳を上に跳ね上げるもの。
(に相手がつかみにきたとき、その手を弧拳ではね上げて、攻撃に移るときに使用する。要点は十分腰を落し、落すと同時にその反動で相手がつかんでいる手を一気にはね上げることである。)
・・・<応用>@相手がつかみにきた時、腰を落しながら、両弧拳で相手のつかんでいる手をはね上げる。A相手が突いてきた拳を右弧拳で跳ね上げて受ける。左手は添手となり自分を守る。
K両手を自然な格好で上げ、相手が拳で正面より攻撃してきたことを想定し、その拳を手の甲にのせて中心から外へと誘導し、相手を迎え入れるつもりで練習するもの
(この技は相手の拳が深く入ってきた時に拳を流し、バランスを崩させて自分の攻撃範囲内に迎え入れる技である。)


・迎手による上からの誘導をするもの。
相手が左手で顔面を打ってきたとき、右手の内側でその拳を押えるようにして迎え相手の左手を殺し、そのまま右手で顔面を打つ。
(注意することは、防禦から攻撃に移る動作を最少限度にすることである。)
・迎手から打拳への連環拳
この技は相手が正面から拳で攻撃してきたときの下からの誘導であり、相手の拳が流れるまで誘導し、迎え入れたその手で一気に相手の顎に攻撃を加える
(右手で相手の拳を防禦し誘導しているとき、左手は添手になっていることが大切である。)
練 A払手(実際の技4種の1つ)
払手とは相手の攻蝶を自分の体の内側から払って防禦する方法であり、自分の体をひねり、腰を利用して、最少限度の動きで相手の攻撃を払うものである。

◆注意点◆
必要以上に強く払ったり、大きく払ったりしないことと、相手の拳を払うとき常に相手の中に入る気持で、腰を落すこと。

◆動作◆
@自然体から、右足を半歩前に出した体勢で構え、相手が拳で中段についてくることを想定し、その拳を左手でまき込みながら払うもの
慣れたら運足を付けた方がよい。進み方は「這」と同じである。
・・・<応用>相手が拳で突いてきたとき、右手で払いながら左手で相手の脇の下を押して崩す。
A自然体から、相手が拳で突いてきたことを想定し、右足を前方に踏み込み、相手の拳を横に払うつもりで体を捻りながら、右手を下から斜め上に持って行くもの
(片手は添手になっていることに注意する。また、後足が常に前に出られるように心掛けておくことが大切である。そうすれば、相手の拳を払ったとき、体の重心は前にかかり、体が後に押されることはない。この技も慣れたら運足を付ける。)
                                  
練 B差手(実際の技4種の1つ)
迎手・払手・差手・打拳で構成されている練のうちで、最も難しいといわれるのが差手である。この差手は、形意拳・大成拳・太気拳の技の神髄といっても過言ではないだろう。相手が攻撃してきたとき、同時に自分も出て、防禦すると同時に攻撃もするのである。これは、相手の隙を見て入るのではなく、相手が攻撃してきた瞬間、常に大胆に強く、そして速く入り、しかも自分の体の防禦もできていなければならない。また、一方の手は必ず、迎手、払手、打拳の動作の場合と同様で添手となっている。相手の攻撃に合わせて差し、相手の攻撃を押し殺すと同時に攻撃する技である。
相手が攻撃してきたとき、中に入ることは容易でなく、どうすれば中に入れるかが一番の問題となる。一瞬の間で、あるし、また、相手が強力な技を持っていれば、どうしてもそこに不安が伴う。そして、この不安は同じ稽古を何年積んでも同じことなのである。その不安を取り除き、一気に無意識のうちに相手の中に入れるようになるには「立禅・這の稽古によるしかないのである。
立禅・這の激しい稽古により、気が充実してくると、相手のどんな攻撃に対しても、たやすく相手の中に入れるようになる。差手のときも、意識的に中に入ろうとあせっていたのが、不思議なくらい思いどうりに相手の中に入っていけることになる。それは、決して頭で考えたのではなく、無意識のうちに、しかも自然に瞬間のうちに体が動くのである。

◆注意点◆
相手の動きに瞬間的に反応して動くためには、目はあまり一点を凝視しないことである。中国拳法では、古来から目はあまり当てにならないものとされている。相手を凝視しすぎると、ちょっとした牽制に惑わされる。目は相手全体をぼんやり)と見るような感じで、相手の体全体の動きをとらえる必要がある。

◆動作◆
@自然体から、相手が拳で攻攻撃してきたと想定し左手を右手の内側に添えて、前に出ながら一気に相手の拳を上から押えて殺し、そのまま攻撃に移るもの。
(手を交差させるとき、胸の前で交叉させることが大切である。また、相手が攻撃してきたとき、相手の拳を受けるという気持ではなく、前に出て攻撃する気分を持つことが大切である。
・・・〈応用>相手の中段攻撃を上から押える。(左手は添手になっている。)
A自然体から、相手が攻撃してきたことを想定して、左足を前に出すと同時に左手に右手を添えて、左腕を外側にして顔の前まで上げるもの。この技は相手の攻撃を一気に止め、そのまま攻撃に入る差手である。
(これは、相手の拳の攻撃を腕の外側で一気に受け、そのまま首をちぢめ、腰を沈めて攻撃に移る技で、ある。添手は特に大切であり注意を要する。なぜならぱ、右手は相手の攻撃を止めているから、攻撃は左の添手ですることになるからである。この攻撃は、相手が浅く入ってきた場合は、無理に相手の手を取って攻撃せずに、深く入ってきたときのみ左手で相手の手を落しながら、相手の中に入り攻撃する。)
・・・<応用>正拳を差手で受ける。
B自然体から相手が拳で突いてくることを想定し、右足を半歩前に出すと同時に、相手の拳を右腕の外側で受けつつ攻撃するつもりで上にあげるもの
(このとき左手は顔面を守り、添手となり相手の中に思い切って自分の体を入れることか大切である。)
・・・<応用>相手が攻撃してきた右正拳を右手でかわし、そのまま相手の体に入りつつ、右手で相手の拳を落し、左手で相手の顔面を攻撃する。
C相手の拳を受けた右手と左の添手を交差させながら、右手は相手の拳を押えるつもりで下に押し、左手は相手の顔面を手のひらで攻撃するもの。
D相手が正拳で攻撃してきたことを想定し、相手の拳を右手の弧拳で受け流すつもりで上げ、そのまま腰を沈めて相手の体の中に入るつもりで前進するもの
(相手の拳を下から跳ね上げるというより、すり上げるようにすることが大切である。この動作は一気に、一挙動でやること。)
・・・<応用>相手の突(顔面)に対して行う(相手も思い切り攻撃してくるのであるから右手で相手の攻撃を差す場合、左手は必ず添手にすることが大切であ
E自然体から、右手を斜め下に出し、腰を落して体を軽くひねるような感じで相手の前蹴りを受けるもの。(手が前蹴りできたときの対抗技。左手は添手となる。)
・・・〈応用A>相手が蹴ってきた場合、思いきって右手をねじ込んで中に入る。< 応用B > 差手から迎手への連携技。最初に差手で受け、その後迎手へと連携する高等技である。まず差手を右手の外側で行い、そのまま手を返して手の内側で相手の足を取り迎手に変化する。
F自然体から、相手がまわし蹴りで攻蝶してきた場合を想定して、左手をひねりながら一気に前に出るもの。
(相手のまわし蹴りを受けたことを想定し、柔道の背負投げをかけるような感じで一気に持ち上げる。この場合、右手が添手になっていることに注意する。注意することは、前に出るとき、相手の懐に飛び込むつもりで、思い切り出ることである。)
・・・<応用>相手がまわし蹴りにくるところを飛び込む
G相手が顔面を拳で突いて攻撃してくる場合を想定し、突いてくる拳を左手の内側で軽くはじくような感じで受けるもの。
(受ける方の手は横にはじくのではなく、斜め前にはじく。そして、一方の手は常に添手になっていることが大切である。相手の反撃を自分の近くで受ければ受けるほど攻撃はしやすくなるので、、相手の拳が顔に当るぎりぎりのところで受けるように稽古をする。これは、構えから小さな動きで相手の拳を殺し、すぐ元にもどれる技であり、手と体の柔軟性が要求される。)
・・・〈応用>相手が左拳で突いてきたところを右手で受け、さらに右手で突いてきたところを左手で受ける。
練 C打拳(実際の技4種の1つ)
相手に攻撃を加える手(技)をすべて打拳と呼ぶ。文字通り、打つ拳。    

◆動作◆
@四方突き。左右前後から4人に囲まれた状態で突き出す拳の基本練習である。
A中段突き。自然体から、相手が拳で攻撃してくることを想定し、その拳を左手で受けて流し、右拳で攻撃する。
B上段突き。立ったままの姿勢で、腰を入れて、相手の顔面を打つつもりで右手をすり上げる。このとき左手は添手になり、受け手にもなっている
(中段突きと同じ要領で行うが、上段突きの場合、基本的には相手の蹴りや拳を下に押えながら、自分の拳で攻蝶する。
・・・〈応用>相手が攻撃してきた拳を左手で押え、内に迎え入れると同時に右手をすり上げ、顔面を攻撃する★掌底
C右足を出すと同時に、相手の顔面を打つつもりで左の拳で突くもの。
このとき、腰を落し、下から上へと思い。切って突き上げると共に必ず右手は防禦の体勢をとる。左足を出すと同時に、右拳で突く。このとき、左手が防禦となる。
(この練習は最初ゆっくり、そして次第に早めていくようにする。この打拳は、相撲の立ち合いでのぶちかましに似ている。)★アッパー
D相手が拳で突いてくることを想定し、構えから1歩前に出て、左手で相手の拳を迎えながら防禦し、右手フックを決める★フック
E写真1の構えから、右手を右上へ持って行き、体を45度開きながら相手の左こめかみあたりを打ち、手を返して戻るもの。
F馬手。右手は力を入れずに半ばこぶしのまま上げ、相手の心臓めがけて打ちおろすもの。この技は、馬が暴れるとき前足を上げ、打ちおろす格好に似ていることから、馬手とも呼ばれている。
G自然体から相手が攻撃してきたとき、左手で相手の拳を防禦し、右手を振りかぶり、相手を手刀で攻撃する。
(大切なことは、防禦から攻撃まで一貫して一気に行うこと。さらに相手を手刀で攻撃するとき、体を半転させ反動を利用することである。この技に限らず、技はすべて攻撃も防禦も腰を中心に体全体で、行わなければならない。
・・・〈迎手と打拳の応用>相手が拳で中段を攻撃してきたとき、左手で防禦し、相手を自分の中に迎え入れながら手刀で攻撃を加える。
                                
稽古方法
「禅・這・練」によって鍛えた技を実戦を想定して稽古する.
稽古のときは、常に体が自然で柔軟な動きをするように心がけ、最初はできるだけゆっくりした動きで無駄のない防禦と攻撃を会得するように訓練すること。防禦の場合、できるだけ自分の体すれすれで相手の攻撃をかわすのがよく、この防禦の仕方もここで十分稽古すること。また、ここで「練」の稽古が十分であったかどうかが確認できる。
すなわち、手の位置、足の位置はこれでよいか、あるいは腰が泳いで・いないか、体が堅くなっていないか、顔が逃げていないかといった具合にあらゆる角度から見る必要がある。
稽古方法には、一人で稽古する場合、二人の場合、それに、相手が竹刀や棒あるいは袋竹刀を使用する場合がある。道具を使用して稽古する場合は、ある程度慣れてうまくなったら、竹刀等で本気で打ち込んで、相手に当てるぐらいでなければならない。この段階ではお互に実戦を想定した場合の稽古であるから、出来るだけ速く、しかも一本一本休むのではなく、長時間稽古を続けることが大切である。また、竹刀を使用した稽古の場合、相手が剣道の経験者であることが望ましい。

◆動作◆
@(基本練習1)互いに手のひらを密着させ、左右に円形を描きながら前方、あるいは後方に進む。
(この稽古方法は、足の動きと関係なく手を動かすことが大切であり、自分の防禦の範囲を知るための練習である。また、相手が押してきたときにバランスを崩さない体を作るためでもある)
A(基本練習2)片推手1
一方が相手の胸を押すように手を出し、その手が胸に触れようとする
とき、他方は相手に手を触れさせず自分の中心から外れるように腰を
中心にして体をかわしながら、右手で外へと誘導する。
(この練習は堆手と呼ばれ、相手の手に触れた感じを知ることと、体のさばきの練習になる。また、手首の鍛練になり、押したり押されたりするので、腰のバランスがよくなる。)
B(基本練習3)片推手2
一方が上から相手の手を強く下に押え、他方はその手を返しながら持ち上げて右側に返して押える。
(この場合、力の強い人に押えられると大抵の人は持ち上げることができない。それは、腕の力だけで持ち上げようとするからであり、腰の力を利用して体全体で持ち上げるようにすれば、意外に持ち上がるものである。)
C(基本練習4)基本練習4
右足を1歩前に出し、右手を左下から半円を描くようにして、右上へ持っていく。
(左手は必ず添手にする。右手で円を描くようにするとき、象の鼻が動くときのように波打つことが大切である。)
D(基本練習5)
互に自然体から、右足を亘1歩前に出し、腕の外側を打ちつけ合う
(この練習をすることにより、腕の力、足腰の力が強固なものとなる。また、実戦のときは、相手の力の度合により、弱ければ押し崩し、強ければ引く、といった具合にいろいろな変化技へと移行する。
E竹刀による稽古A
・相手が竹刀で突いて入ってくるとき、腹部に当る直前に腰を引きながら、腰を柔らかく後方に移動する
(これは相手の竹刀をすかす稽古で、あり、腰の移動のタイミングを特に注意する必要がある。また、体はあまり後方に引かず、手の位置は崩さず、常に前に出る気持を忘れぬようにする)

・相手が竹刀で突いてきたとき、竹刀を内側から左手で払って防禦する
(左手は払手になって竹刀の動きにつれて動くが、右手は同じ構えのままで、左右の手の動きが完全に分離していることに注意する。)

・相手が竹刀で攻撃しようとするとき、1歩相手の方に出るようにして誘い、相手が攻撃してきたところを、左足だけステップバックして竹刀を左手で防禦する。
(あまり後方に腰を引きすぎずに、腰を下げながら移動すること。それに、左手は迎手、右手は添手として常に前に出ていることである。)
F棒による稽古
G竹刀による稽古B
H袋竹刀による稽古
I袋竹刀による連続攻撃の防御

組手
「禅・這・練」の練習の成果を、相手との立合において実戦で学ぶのが組手である。この組手の練習において注意することは、相手の隙をついて、いかに攻撃するかということではなく、相手に手が触れたとき瞬間的に、しかも無意識のうちにいかに自分の身体をさばくかを心がけることである。それに後退するときも、相手に押されて腰くだけにならないようにする。さらに、目は相手の目を見るのではなく、相手の体全体の動きを見て、手を柔らかくして相手の攻撃に対処することが大切である。
探手
太気拳では、相手を仮想し、攻撃や防禦の動作を一人で、踊るように行うことを「探手」という。これは長い修練ののちには、あらゆる攻撃や防禦を無意識のうちに行えるまで高められねばならないが、初期の段階としては、各攻撃・防禦の形を自らの創意に基き、いろいろなパターンとして組み合わせ、意識的に行うことがまず必要であろう。

探手の動きは、静から動へと徐々に速く変化するのが普通である。また、常に相手を仮想し体を練るつもI)で動くことを念頭に入れておかなければならない。従って、体を大きく広げたり、時には体を縮めたI)、また拳で突いたりして、太気拳の拳法の技が全て盛り込まれるような動きをするように心掛けねばならない。

◆注意点◆
1.前進して相手の中に入る動作のときは、首が座らなければならない(顎をひいた状態)。
2.攻撃する動作のときは、添え手の位置に注意すること。
3.前進、後退する這の動作のとき、常に無理のない歩幅で自然に動くこと。
4.一度打拳を出したら、すぐ次の二番手で押す。あるいは引くこと。なぜならば、相手を追うとき、2手め、3手めを押すか引き込むかが勝負の分れ道になる
からであり、これも太気拳の特徴である。
5.無駄なフットワークはしないこと。
6.動いているとき、常に気分は前に出ていること。後退しているときもその気分を忘れてはならない。
7.体を一定の形に決めておかないこと。
逆手
太気拳でいう逆手とは、一般に格闘技として使われているような、自分から攻撃を目的としてねじったり関節をとったりする逆技ではない。相手が腕をねじったり、逆をとろうとするのをすばやく逃れるための、すなわち相手から離れるための方法を『逆手』といっているのである。

太気拳の逆手は、相手にとられた手を小手先の技術ではずすのではなく、手をとられた瞬間、一気に拳を引くと同時に腰を落し、相手の重心を奪うのが基本である。
海老は、何かに触れたりすると「ぴっ」とまるくなって、飛ぶようにして逃げる。そのように逆手は、一瞬にして相手から離れるのでなければならない。
逆手を会得するにも、立禅から始めて這・練などで鍛練して、気の発揮をしなければできないのである。

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